はじめまして、有田 賢人です。お初にお目にかかる方も多いと思いますが、主に津田沼を拠点として、1年半くらい前から日本各地のPTQやGPに出場し、プロツアー出場を目指すプレイヤーです。好きなデッキは「親和」で、ビートダウンを好んで使っています。
さて、僕がなぜ記事を書くことになったのかというと、なんと念願のPTQを突破することができたからなのです!そのときのレポートを、僕が何を考えながら構築・プレイしていたか?等を交えながら書いていきたいと思います。よろしくお願いします。
今回参加したPTQは、長野にある「一体何屋なんだ?!」でお馴染の「はま屋」さんで行われ、現地までは光安さんの車で、増野さん・くまさん・ハギさん・もりしょーさんと共に6人で向かいました。
PTQのフォーマットは、参加権を争うプロツアーごとに決まっていて、プロツアー「マジック2015」シーズンのフォーマットは「リミテッド」です。スイスラウンドはテーロス3パック・神々の軍勢3パックの計6パックを用いたシールド戦、決勝ラウンドはテーロス2パック・神々の軍勢1パックによるドラフト戦で行われます。
それでは早速、僕のスイスラウンドでのカードプールから見てみましょう。
○青
2 波濤砕きのトリトン
1 ニクス生まれのトリトン
1 高巣の崇拝者
1 スフィンクスの信奉者
1 先見のキマイラ
1 無効化
2 保護色
1 航海の終わり
2 層雲歩み
○白
1 アクロスの空護衛
2 レオニンの投綱使い
1 天馬の乗り手
1 目ざといアルセイド
1 アクロスの密集軍
1 天界の執政官
1 グリフィンの夢掴み
2 異端の輝き
1 今わの際
1 くぎ付け
1 剥離
1 日の出から日没
○黒
1 悪意に満ちた蘇りし者
1 苦痛の予見者
1 悪魔の皮の喧嘩屋
1 ティマレットの召使い
1 血集りのハーピー
2 アスフォデルの灰色商人
1 形見持ちのゴルゴン
2 モーギスの戦詠唱者
1 エレボスの加護
1 毒蛇座の口付け
1 災いの印
1 忌まわしい変身
1 屍噛み
1 悲哀まみれ
1 エレボスの催促
1 殺し屋の行動
2 死の国の重み
1 死の国からの救出
1 血占術
○赤
1 ニクス生まれのお調子者
1 死呻きの略奪者
1 性急な太陽追い
1 国境地帯のミノタウルス
1 嵐の息吹のドラゴン
1 天啓の嵐
1 稲妻の一撃
1 マグマの噴流
1 難題への挑戦
2 稲妻の決断
1 パーフォロスの激怒
1 落岩
○緑
1 官草の蠍
3 旅するサテュロス
1 ケンタウルスの武芸者
1 彼方の工作兵
1 セデッサの星砕き
1 常命の木立ちの蛇
1 巨体の狐
1 狩人狩り
1 ハイドラの血
1 ケイラメトラの好意
1 神々との融和
1 選別の印
1 狩人の勇気
○多色・アーティファクト・その他
1 地平線のキマイラ
1 クルフィックスの預言者
1 魔女の目
1 速羽根のサンダル
1 霊体のヤギ角
1 つややかな雄鹿
1 ゴルゴンの首
1 未知の岸
どこぞの記事のようですが、上記のプールを見て皆さん自分ならどのように組むか少し考えてみてください。
さて、僕がこのプールを見た初めの印象は、全体的にパワーカードが散らばってるなぁという感じでした。僕はこの環境は出来るだけ「3色目は入れたくない、2色で安定性を重視するのが良い」、という考えのもとで練習を行っていたので、今回も最初に2色で組める組み合わせを試しました。序盤からクリーチャーを展開して素早くゲームを決める、“青白”や“赤白”のようなカラーリングが好ましいのですが、残念ながらクリーチャーが足りなかったり、せっかく優秀な英雄的クリーチャーがいるにもかかわらず「対象に取るスペル」が少なかったりと、勝てるビジョンが見えなかったため諦めました。
次に注目したのは“黒”で、構築でも猛威を振るう「アスフォデルの灰色商人」が2枚に、それとシナジーを形成する「死の国からの救出」が1枚があり、これをどうにか使えないかと並べて見たところ、全体的に重めのクリーチャーでまとまっていて、序盤を耐えるカードが少なく、早いデッキと当たった際に対処できずに負けてしまうイメージが強く、敢え無く断念しました。
そこで目をつけたのが“緑”です。緑のプールには「旅するサテュロス」が3枚と「ケイラメトラの好意」が1枚あり、非常にマナベースが安定しているため、一番重要視している「安定性」の面では問題ないだろうと思いました。また、マルチカラーに「クルフィックスの預言者」や「地平線のキマイラ」といった強カードがあったので、ひとまず青緑で並べてみることに。すると、ある程度の形にはなったのですが、ひとつ気になることが。
「ド、ドラゴン使いたい・・・。」
そう、赤は全体的にカードの枚数が少なかったのですが、ただ強カードの「嵐の息吹のドラゴン」や除去として優秀な「稲妻の一撃」と「マグマの噴流」があったのです。普段ならばダブルシンボルであるドラゴンをタッチするということは考えないのですが、先に書いた通りマナベースが安定していることを踏まえて、除去とドラゴンをタッチすることに踏み切りました。
○使用デッキ 青緑タッチ赤
1 官草の蠍
3 旅するサテュロス
1 彼方の工作員
1 ニクス生まれのトリトン
1 波濤砕きのトリトン
1 セデッサの星砕き
1 地平線のキマイラ
1 高巣の崇拝者
1 常命の木立ちの蛇
1 クルフィックスの預言者
1 嵐の息吹のドラゴン
1 先見のキマイラ
1 巨体の狐
1 航海の終わり
1 保護色
1 稲妻の一撃
1 マグマの噴流
1 狩人の勇気
2 層雲歩み
1 ケイラメトラの好意
8 森
6 島
2 山
1 未知の岸
スイスラウンドでは早々とキリトくんと引き分けてしまい、負けられない戦いが続きましたが、井川さんから下当たりの際にトスしていただいたこともあり、最終戦で「マンモスさん」こと石井さんとのバブルマッチに勝利して5-1-1でTOP8(5位通過)に残ることができました。
TOP8では、スイスラウンドで用いたシールドデッキではなく、8人によるドラフトが行われます。勿論シールドもそうですが、ドラフトは更に“経験”や“練習量”がものを言うということは僕も重々分かっていました。MOや津田沼勢との練習で以前より少しは自信をつけてきたものの、ここはPTQ決勝ラウンド!リミテッドの得意な方々が集まっているということもあり、それでも練習不足なのでは無いか?と正直不安でした。
神々の軍勢が入ってからのドラフトは、神々の軍勢1パックとテーロス2パックを使用して行われ、神々の軍勢→テーロス→テーロスの順にピックが行われます。テーロスは派手なパワーカードが多いのですが神々の軍勢はパワーカードが少ないので、1パック目の神々の軍勢の時点で色を決めてしまうのはよくないと言われていますね。僕も実際その通りだと思っていますし、練習でも神々の軍勢では“パワーカード”や“点数の高いカード”を、色をあまり意識せずに取っていき、テーロスに入ってから色を絞っていく、という手法をとっていました。決勝ラウンドでもそのスタンスを崩さず広く取っていこうと考えていましたが、先の不安もあって、出来れば最強色である白をやりたいなぁとも思っていました。
実際にドラフトが始まるとなんとそこには「オレスコスの王、ブリマーズ」が!!!「こんなの一択やーっ!」と思ったのですが、隣には「羽擊王」があり、1-1から非常に難しい2択を強いられました。
ブリマーズは白の軽量クリーチャーで押していく“赤白”や“青白”といったアーキタイプに非常にマッチしているのですが、3マナのダブルシンボルなので、十二分に力を発揮する為には、白をメインカラーに選んだ方が望ましいわけで、1パック目で色を決めない、というスタンスを崩す事になります。一方、羽擊王はマナコストが5マナと軽いとは言えませんが、その分活躍するのは中盤以降と言う事もあり、白がそこまで濃くないデッキにもマッチするので、色選択を保留出来るというメリットがあります。
かなり迷いましたが、結局1-1は“ブリマーズ”を選択しました。ブリマーズを選択した理由はシンプルで、お持ち帰りレアだから“青白”や“赤白”といった「やりたい」アーキタイプを強力に後押しするカードだからです。そもそも白をやりたいと思っていた事もあり、色を決めるリスクを負ってでも、成功した場合のリターンの方を採りました。
しかし、ここで重要なポイントとなるのは、「ブリマーズを取った」ことよりも「羽擊王を流した」ことです。羽擊王を流すということは、下家に“白が空いている”という誤ったシグナルを送ってしまう可能性が高い為です。そこで、1-2以降は少し点数が低いカードだったとしても白のカードを優先的に取っていくようにしたのです。その結果、1パック目が終了した時点で、ブリマーズを始めとして「神に寵愛された将軍」や「オレスコスの太陽追い」などの白の優秀な軽量クリーチャーを取ることができました。また、「保護色」や「潮流の合唱者」など青の比較的優秀なカードも取れていたので、2色目には“青”を少し意識していました。
その後2-1ではレアこそぱっとしなかったものの、青白の強力なパック(「捕海」「エレボスの使者」「ヘリオッドの使者」「雨雲のナイアード」)から、「雨雲のナイアード」を、続く2-2で「海神の復讐」を取ることに成功し、本格的に“青白”への道を辿りました。一番驚いたのは2-9で「捕海」が残っていたことで、8人の中で青をやっているのは僕だけか、多くても2人だろうと感じました。
出来たデッキがこちら。
デッキとしてはかなり強めの青白に組み上げることに成功しましたが、白の優秀な飛行クリーチャーである「アクロスの空護衛」や「天馬の乗り手」が取れなかった点や、人間シナジーがないのに2マナの2/2バニラを2枚入れなくてはならなかった点が少し不満です。しかし「忠実なペガサス」を2枚ピックした関係上、2マナ域のクリーチャーを増やしたかったので、これらが安定して殴れるように「液態化」を2枚投入し、回避能力を重視した構築にしました。
準々決勝では対戦相手が白黒の重めの構成だったので、飛行ビートですんなり勝利。準決勝では岸田さんの黒緑メインのデッキと、決勝では萩原ゲンタさんの赤白と対戦することになりました。準決勝と決勝の様子は、はま屋さんによるニコニコ生放送が行われていたので、タイムシフトで是非視聴してみてください。
最後になりましたが、一緒に長野のPTQに参戦し決勝まで応援してくださった増野さん・くまさん・ハギさん・もりしょーさん・光安さん、Twitterにて応援してくださった皆様、今回の記事を書く機会を与えてくださった有田さん・あじわいさん、一緒にリミテッドの練習をしてくれた津田沼勢のみんな、本当にありがとうございました。来年度より社会人になりますが、プロツアーで恥ずかしい成績を残さぬよう、より一層練習に励み、更に上に行けるように頑張っていきたいと思います。
コメントをお書きください